親の気持ちを正直に伝えると子どもとの信頼関係ができてくる
〝怒り〟の手前で起こる別の気持ちに気付いてそれを表現していくことは、
相手に嫌な思いを与えない、という効果だけではありません。
これまではいつも怒ってばかりだったけれど、
本当は〝落胆〟してたんだ
本当は〝悲しかった〟んだ
本当は〝焦って〟たんだ
本当は〝傷ついた〟んだ
とわかると、
わたしはこういうことで〝落胆〟する人
わたしはこういうことで〝悲しく〟なる人
わたしはこういうことで〝焦る〟人
わたしはこういうことで〝傷つく〟人
ということが自分でわかります。
その中には、それまでには気付かなかったことも出てくるのです。
これまではこれをすべて〝怒り〟で表現していたので、意識が相手に向かっていました。
でも本当の気持ちを知り、その気持ちを感じる〝自分〟を意識すると、
こういうことで揺れる自分、であったり、
こういうことにショックを受ける自分、であったり、
自分自身のいろいろな側面が見えてきます。自分のことが今まで以上によくわかるようになります。
そして、その気持ちを正直に子どもに対して表現していきますから、子どもも親がどんな人かが理解しやすくなります。
理解できると、信用したり信頼したりすることにつながりやすくなるのです。
子どもに本心を知られるのは嫌だ、と思う人もいるかもしれません。
しかし、よくわからない人、理解できない人を人は信頼するでしょうか?
親が本心を出していくと意外に子どもとの距離は近くなるのです。
それはわたし自身が身をもって感じていることです。
親の役割だけで子どもに言葉掛けをしていた頃は、子どもはやはり仮面をかぶった親として扱います。
つまり子どもも本心を言いにくくなるのです。親がいつも本音で関わっているからこそ、子どもも本音を出しやすくなる。

本音を出せる関係は隠している関係よりもずっと楽
そしてお互いにわかりやすくなります。お互いによく理解し合えるのです。
子どもに自然に信頼を与えていくことになるでしょう。
また、親が本心・本音で生きている姿を子どもに見せることは、
後ろ姿を見せる、という意味でも、本音で生きている人とはどういう人か、
そういう人と関わるとどんな感じを持つのか、を体験として子どもに教えていくことになります。
「嘘はついちゃダメですよ!」と口で教えているより、ずっと説得力があるというものです。
本音でいると〝親とはこういうもの〟という理想像とは、ずれる状態も当然出てきます。
それすらも正直に表現していくので、ある意味人間らしいです。人間らしくあると、肩の力も抜けます。
〝こうしなければ〟で動くのではなく、〝わたしはこういう人〟が基準で動くのですから。
この姿勢は自分を大事にする姿としても子どもに自然に見せていくことになります。
子どもにも〝自分を大切にすること〟を教えていることになるのです。
自分の命を大切にし、自分の存在を大切にする。自己肯定感を高くすることにもつながります。
親が本音で生きていることは、子どもが自分を大切にし、将来をいきいきと生きていくことにもつながっていく、
そんな大きな効果も秘めているのです。親が本音を出すことは、決して身勝手でも、自由気ままなことでもありません。
人間らしい、人間としてあるがままの姿なのです。そしてそれは、いろいろな素晴らしい効果を生みます。
自分のために、子どものために、親の仮面をかぶることなく、自分らしく、いつも本音でありたいとわたしは思います。
親の気持ちを正直に伝えることは、
・お互いの理解を促す、信頼関係を作る
・自分を大切にすることを教える
・自分らしく生きる姿を見せる
ことにつながる。