失敗を伝える
迷っている人にありがちなのは、「自分を隠す」ということです。
俗に言う「変なプライド」です。しかし、「失敗」を伝えてください。
必ず共感し、支援してくれる人が現れます。
私は、担当する高校生に必ず自分の数々の失敗談を話します。
「先生は公立中学校出身で、当時はわりと成績も良かった。
だから高校でも大丈夫だろうと思っていた。
しかし、とんでもない事態が起きたんや。
高校に入学する前にクラス分けテストがあってな、おもに春休みの宿題から出されたんや。
中学校を卒業して高校生になる前の春休みやから、宿題なんかする気になれなくてな、
適当にやって、最後は答えを写して提出したんや。
どうせ、『俺は賢いねんから、クラス分けテストも楽勝やろ』と思って、
テストを受けに行ったら、得意の英語で頭が真っ白や。
今でも冷や汗が出たのを覚えている。
結局な、そのテスト、90人中88位やったんや。初めて屈辱を味わったんや。
副校長先生から母親ともども呼び出されて、
『高校は義務教育ではないので、やめてもらってもいいですよ』と言われたんや。
帰りの車の中で母親からこっぴどく叱られて、その日の午後のことは何も覚えてないんや」
自分の失敗談を伝えることで、「先生にもそんなことがあったんや。
自分もそんな思いしたことがあるねん」と言ってくれます。
この話には続きがあります。
「けどな、先生もしつこくてな、高校1年生の時は定期テストの時しか勉強しなくて、それ以外は遊んでいたもんや。
行きたい大学もなかったしな。ところがや。高校2年生になって初めて『外大』に行きたいと思ったんや。
英語が話せたり中国語が話せたりしたらかっこええやろ。それに、これからは『アジアの時代や』と思ったから、
中国語が強い大学を探すことにしたんや。ほんなら見つかった。
けどな、そこは国立やから全然学力が足りへんって気づいた。
センター試験も受けなあかんねんけど、現代文はパッパラパーや。
偏差値は30くらいや。まぐれで80とったこともある。
けど、どうしても行きたいって思った。だから、勉強したんや。
そしたらな、センターの英語が196点取れたんや。
すごいやろ!べべ2からの大逆転や!だから、安心したらええ。
先生は、勉強が苦手な子の気持ちが分かる。
数学の樹形図の問題なんか、計算の方法が分かれへんから、テストの裏に全部樹形図を書いた。
ほんなら正解した。
なんとかなるもんや。世界史なんかセンターは100点中96点や。
『ここへ行きたい』っていう明確な思いがあればどないでもなる」
こんなことを私は必ず1回目の授業で話します。
皆さんにも、必ず「仕事でこうなりたい」「自分の人生をこうしたい」という思いがあるはずです。

しかし「できていない自分」もいるはず
ほとんどの人がそうかもしれません。そういう思いを誰かに話してください。
きっと、あなたを応援してくれる人が現れます。
また、大学生にはこんな話をします。
「先生は35歳でどん底を味わったんや。大学を卒業して13年間、学習塾に勤めた。
でも35歳の時に不動産営業に転職したんや。
けど、2週間しかもたなかった。4月1日入社、4月15日退職や。
その日から5月31日までは何もしたいことがなかった。どうすればいいのか分からなかった。
もともと会社を辞めるつもりじゃなかったから、大阪の南の方に一軒家を建てていた。
35年ローンや。職場からも近いし、自然も豊かでええところや。
けどな、仕事辞めてしまったから、妻にばかり負担をかけてしまったんや。
朝5時半に妻は家を出て、買ってくるのは夜12時をまわる。こんなはずじゃなかった。
そんなある日、後輩から予備校の仕事を紹介してもらった。けどな、年度の途中やから仕事がないねん。
毎回毎回、野球でいったら代打や。
1回の座席で結果出さな、次のチャンスがないねん。だから、1回1回を大切にした。
ほんなら、ありがたいことに翌年からはめっちゃ仕事をさせてもらえるようになった。
けどな、上には上がおるもんや。すごい先生もいてるし、参考書や模試を作っている先生もいてる。
目指したい人が見えたんや。『俺も、こうなりたい』ってな。
一度目標が決まるとおもろいもんや。いっぱい話を聞いた。
『どうやったら問題集書けるんですか』毎回質問攻めや。だから、先生は成長できたんや。
でも、仮に何の目標もなくただただ授業だけ来ていたら、意味ないやろ。ほんまは何をしたいのか、よう考えて授業を受けるやつと、
そうでないやつとでは、同じ授業でも解釈のしかたが変わるから」
こういう話を最初にすることで、何かが伝わるのだと思います。